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随 躁 録
ZUI-SO-ROKU


>> 2002/07

[ バニラスカイを見て ]
 トムクルーズ主演、バニラスカイを見た。いや、この映画を見終えた今の感覚としては、バニラスカイを、「読んだ」とすべきかもしれない。映像で見たという感覚よりも、ストーリーを読み込んでいったあとの疲労感に近い感動が残った。

 何が言いたかった映画なのだろう。ストーリーは最後まで訳が分からず、最後の解説がなければずっと悩み続けたに違いない。愛を訴えたかったのか。もちろんそれもあるけど、日常の生活の中で感じている夢と現実。考えてみれば、今こうして生きている現実の中で、常に頭の中では夢や妄想が渦巻いている。この境目がなくなることの恐怖(=この映画の面白み)を、夢のようなストーリーで描くのだから、この作品は文学だと思う。

 2001年の映画だけど、9.11テロの前か後ろか。世界は大きく変わった。イラク攻撃の正当性が英・米で取りざたされている中で、日本では、アメリカ支援の正当性すら検証できずに、自衛隊を送り込む法案まで通ってしまった。戦争に日本人が参加するのだ。こんなに恐ろしいことはない。

 テロ事件以来、イラク戦争が起きる前でも、自分が徴兵されて戦地に送り込まれる夢を良く見る。むしろ最近の方が現実味が増して夢にならなくなっているが。イラク情勢を報じるメディアや、日本の国会風景を見るたびに心が痛くなる。そして、得も言われぬ恐怖が走る。なぜ、イラク戦争はアメリカの犯した過ちであり、日本が加担したことは恥ずべきことであると、認めることができないのか。自衛隊がイラクに行くことは、日本人が戦争をすると言うことなのに、このことを何故止められないのか。自衛隊に銃口が向けられることを、誰かの家族や友人が殺されることを、黙って見ていろと言うのか。

 日本の平和主義は、夢にすぎなかったのか。日本国憲法9条は夢なのか。若者や少年の犯罪が悪質化している。自殺だって減る傾向にない。モラルや一般常識、良い意味での世間体、もちろん富や名声を気にしながら、住み良い社会を造ろう、気持ち良く生きようと、ほとんどの人が志している。そんな中で、政治家達が大腕を振って過ちを認めず、憲法を無視した法律をどんどん作っている。そんな状況が当たり前にまかり通っている社会で、平和が維持されるはずがない。

 バニラスカイの夢は、最後には醒めることになるが、おそらく厳しい現実が待っている。夢の中ですら、潜在意識のもとで悪い方向に進んでしまうのだが。追い込まれて行く中でもう一度自分を取り戻すことが映画では可能だが、現実の世界は、一体どこまで追い込まれてゆけば、醒めるのだろう。今の日本は、終わりのない悪夢の中にいるような気がする。
2003/07/27(Sun) 曇り

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[ 管理者:そらまめ 著作:じゃわ 画像:牛飼い ]